Blog

User

Event

TEL:
072-727-3800

E-mail:
info@verdy.com

  

第三話 ありがとうマスター

中学1年の時、俺の足はもっぱらチャリだった。
チャリといってもフルチューン。ドロップ型のハンドル(グリップは赤で巻きなおし)
にミッションは18段変速(改)。ブレーキはフロントが競技用のロングシューに
リアがそのシュー+コースターブレーキのダブル。

よく喉が渇いたので水筒も2つ常備。
ここからがおもしろい。
バイク用の6Vのバッテリーを2つ直列でつなぎ、自動車用のまき貝型の
和音のクラクション(魚崎のスクラップ屋から入手)、スピードメーター、
イエローのフォグランプ、ウィンカー(ハザード兼用)まで付いていた。
御影周辺ではちょっとした自転車野郎だったと思う。



そんな俺は、三宮から西宮の辺りまで毎日刺激を求めて徘徊していた。
そんなある日、気になる場所を見つけた。
2号線沿いの東灘警察の東約100M地点だ。
ここには日替わりで色々なロメオとマニアックな車が必ず止まっている。
当然の様に毎日1回(多い時は5回位)その前を通るのが日課になっていた。
今から思えば死ぬほど暇だったと思う。(笑)

1年ぐらい経った時だろうか。とても興味のある現象を知った。
一週間に1度か2度、夜の11時ぐらいに奴(ロメオ)らしき雄叫びが
かなり遠くの方で聞こえる。

ココココココココッコッコッーコッーコッーバラバッバッバウーンッゲロッゲロッゲロッゲロッ

5分くらいすると家のすぐ近くを通り、消えていく。
この音が俺が知っていたロメオより大きく、ただものではないのが
当時の俺でもわかった。

「見たい!」

そいつの正体が知りたくて、外に飛び出すのだが、親にばれない様にそおーっと
抜け出さなくてはならないのでいつも間に合わなかった。



冬休みのある昼前、いつもの雄叫びが急に聞こえた。

「奴だ!」

俺は猛ダッシュで愛チャリで飛び出し、全開で追いかけた。

「赤の2000ウ゛ェローチェだ!」(チャリの瞬間時速は50KMを指していた)

ロメオは2号線沿いの例の場所で止まった。

「どんな人が乗っているのだろう?」
チャリを車の斜め後ろで停めて息をひそめた。

「ウワッ!」

俺をひとまわり大きくしたようなオッサンが出てきた。」
(俺もかなりデカイのだが…)

オッサン 「なんじゃい!」    
俺     「しまった!」

少しでも長い間ヴェローチェを見ようと思ったばかりに、知らず知らずのうちに
車間距離10Mでしかもチャリであおってしまった。


俺 「す、すいません!僕はただ、ヴェローチェが大好きで。」
オ 「お前!、ヴェロ−チェって何で知ってんねん!」
俺 「2000GTVのVはヴェローチェのVでイタリア語で早いという意味ですよね!」
オ 「・・・お前、年幾つや?」
俺 「14です。」
オ 「・・・エエモン見したるから来い!」

俺は(小心者?)だったために、今まで入りたくても入る事の出来なかった
Caffe Veloceに拉致された。
家から300M位の所に、こんな天国のような楽園がある事を知った。
これが俺の人生を決定した瞬間である。

「このオッサン病気や!」

しかし、今ではその不治の病は俺にうつってっしまった。
それからというもの、学校が終わると家に帰るまえに、カフェ・ヴェローチェに寄り、
晩飯を食ってからまた行き、ひどい時は御影荘(マスターの実家で割烹旅館。
今は、そこの一角にカフェ・ヴェローチェがあり、名物ミラノライスこそないが、
バリバリうまい。)で寝て、俺の両親が起きる前にそおーっと家に帰るなんて事
も時々あった。

14歳からクラブ・スフィラータに所属し、年会費を払い、
ジムカーナ、レース、走行会、ツーリングに行き、連れまわしてもらった。

マスター(オッサンこと故大垣氏)はとても面倒見が良く、
俺の事をとてもかわいがってくれた。

「菅井(俺の名前))!、今晩もひとっ走り行くか?」
「ウィ‐ッス!」

深夜1時に待ち合わせし、色々な車で六甲アイランドや南港、
琵琶湖なんて時もあった。
アンダーステア、オーバーステア、スローインファーストアウト、
アウトインアウト、ある時はわざとスピン!等とにかく全開!
俺はチューンした全開のロメオの音に酔いしれた。

「コーナーはアクセルで曲がるもんや!パーシャルって知っとるか?」
「スペチアーレ!」マスターも気分はミッレミリアの英雄、天才タッツィオ・
ヌウ゛ォラーリののりだったと思う。
残念な事にマスターは数年前に病気で帰らぬ人となった。
彼の噂は色々あるけれど、俺にとっては大切な兄貴であった。本当に残念である。
しかし、間違い無く俺の心の中では生きている。
その後、俺の人生の節目節目でマスターの声が聞こえるような幻聴がある。


「男やったら行けー!」



管理人より

故 大垣氏…今は無き「クラブ スフィラータ」の主催者であり、
喫茶ヴェローチェのオーナーであった名物親父。
彼が普通の段付きのプリントTシャツを着ると、それがGTAmに見える程
Tシャツが伸びまくってしまうくらいに身体の大きな人でした。(笑)
常にテンションが高い人で、ロメオが大好きで、、、そんな人でした。

ロメオのジムカーナー大会の主催等、イベント開催の草分け的な存在。

私がイベントを主催していた頃、大垣氏に色々アドバイスを頂きました。
そんな中でもロメオだけでイベントが成り立つ事が、彼の夢だった様です。
「奥野君な、ロメオだけでイベント出けへんか?、年寄り連中も全員呼べよ!」

初代AROCの、俗に言う「ロメオ1期生」、大垣氏の頃の「ロメオ2期生」、
僕等の世代の「ロメオ3期生」、そして現在の「ロメオ4期生」。

現在の4期生のイベントを、是非彼に見せてあげたいです。彼の喜ぶ姿が見たいです。
そして、大垣節を延々と聞きたいなぁ〜と、このレポートを読んで思いました。 (笑)


BACK INDEX NEXT