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  第一話 蛇との出会い

 

俺が1歳と10ヶ月の頃(誰も信じないが何故か俺は1歳と2ヵ月から記憶がある)、
車という存在を意識し始めていた。動いている物すべてに興味があり、その中の
一つに車があった。 働く自動車やレーシングカー、バス、そして乗用車という風に、ある程度は自然で分類出来ていた。 しかし車でありながらとてもそのカテゴリーに
入れられない恐ろしい物があった。
それがロメオである。


 
今でもはっきり覚えているが1971年の春頃、俺の祖母の妹夫婦が段付き寄り目
3本線に乗っていた。ソイツが俺の家に来た時、恐ろしい印象を五感で感じた。
何とも言えないオイルの匂い、「コワッバルルーン」という吸排気の音、キョーレツな
顔つき。当時子供の目線で正面から見ると、マジで生き物に見えて泣いてしまった。
 
数ヶ月が経った時、不思議なもんで怖いくせに何故かその生き物に無性に
会いたくなった。そんなある日にその親戚が来る事を親から知らされた。
 
「奴が来る!」
 
いつ来るのか気になってしかたがない。俺はいアイツが入ってくる門の影に隠れ、
1時間程の間、息をひそめていた。
俺の家から70m位下がった所に幹線道路があり、そこを曲がってやって来る
(ルートは把握していた)。
その時、遠くの方でかすかな音が聞こえた。
 
ボー  ボー ボーバルーン キーバルーン キーバルーンーゲボッゲボッゲボッ」
(今から考えるとヒールトゥをしていたと思う)
 
「奴が来た!」
 
恐る恐る門から顔を出し幹線道路を覗いて見ると、奴が右折しようとしてタイヤをこっちに向けている。奴と目が合ってしまい、遠くから睨みつけられている様に思えた。

「怖ッ!」

俺は猛ダッシュで駐車場が見下ろせる高台に避難し、ビビリながら様子をうかがった
 
「ボオ〜オ〜オー」
 
奴が俺の真下に来た!当時の俺の家の駐車場は門の前でスイッチバックをしてバックのままS字のクランクを抜け、坂を登った所にあった。(今思うとかなりのテクニカルコース)その為か、奴が吠えまくる。
 
「ババーンバーンバーン!」
 
その当時、奴を運転していたのが老夫婦だからシフトがいそがしそうに上からは見えたが、ローギヤのシンクロのプレートが1枚だったので2速や5速に当てていていそがしかったのを20年後に自分も知らされた。
 
 



俺が3歳くらいにもなると奴と会えるのが楽しみでしかたがなくなっていた。
ある晩、奴が俺の家に来ている時、懐中電灯を持って駐車場まで一人で見に行った。
斜め前から奴を照らした時、突然奴が俺を睨んだ。
 
「ギョロッ」
「ゲッ!」
 
昔の悪夢が一瞬よみがえったが、「こいつは車だ。運転しないと動かない」と
何度も自分に言い聞かせたのをはっきりと覚えている。
 
キャレロのレンズは外からの進入光で本当にそう見える場合がある。
何の為か知らないが、イタリア人らしい演出だと勝手に今では決めつけている。
そして車のマークを近くで見たくなり、照らして更に驚いた。
 
「ウワッ!蛇が人食うとる。それで十字架の病院に運ばれるのか!」
 
その頃の俺は十字架=病院と勝手な解釈をしていた。(笑)
当時のロメオのマークはサラセン人(食われている人)がもっとリアルで
生生しかった様に思う。
 
「ナンちゅう車や!」




 
俺の人生の中でロメオとの出会いは衝撃であり、物心つかないときから脳に
刻み込まれた。それからロメオに苦しめられる人生が始まるが、これはある意味
宿命だと思う。
 
嫁さんに、「私とロメオとどっちが大切なの?」と言われた時、
真剣に5秒くらい考えたら殺されかかったのも事実である。
 
今、俺の息子が2歳になったが、阪神高速を時速150キロで走行中、対向車線を走っている車を見て、
「145!」「147!」「156!」と小声で言うようになった。今後が楽しみである。
 
数えきれない程のエピソードがあるが、初めてなのでこのくらいにシトコ!。
 


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